アシストスーツ 楽衛門 杉村清

インタビュー 東京都渋谷区を拠点に腰の負担を軽減するアシストスーツの企画・製造・販売を手がけている株式会社ラクエモンさん。杉村社長は、なぜアシストスーツをつくろうと思われたのでしょう?

杉村 もともと私は機能障害のリハビリトレーナーをしていたんです。そんな中で自分が腰椎ヘルニアを患い、緊急手術を受けることになりまして。その結果、左下半身が麻痺して動かなくなってしまったんです。その後は独自のリハビリで半年後にどうにか歩けるようになったのですが完治に至らず、腰椎ヘルニアの手術を通算4回繰り返しました。

インタビュー それは大変でしたね・・・。ではご自身の経験をもとに腰痛を防ぐ方法はないかと模索されたわけですね。

杉村 はい。ある時、荷物の持ち上げ下げ時に腰の負荷を軽減できる、アシストスーツの存在を知りました。そこであらゆるアシストスーツを試してみましたが、値段の高さや着用の難しさなど、さまざまな問題点があることに気づきました。さらに効果を実感しにくい商品も多くあり、「それなら自分でつくってみよう!」と決意したんです。自らデザインを起こし、日本の“ものづくり”から生まれたアシストスーツを創ろうと、何社もメーカーさんを回りました。人脈ゼロからの全国行脚で大変でしたが、“ものづくり”に共感してくださる会社と出会えたことに感謝しています。商品の機能性を証明する必要もあったので、2年かけて特許も取得しました。

インタビュー すごい! ご自身のアイデアにかける情熱と努力に頭が下がります。

杉村 ただ当時は、本当に実現できるのか自分でも半信半疑なくらい創るのが難しい製品だと思っていました。というのも、素材や縫製技術にこだわり、10秒で着用できるアシストスーツを目指していたので。それだけに、ご協力いただいたメーカーさんのおかげで完成したときは本当に嬉しかったです。そんな皆の知恵と技術を結集させたアシストスーツが「楽衛門」です。

アシストスーツ 楽衛門

インタビュー この度、新商品アシストスーツ「二代目 楽衛門」を発売されましたが、特長についてご説明ください。

杉村 楽衛門の販売開始から2年が経過し、改めてアシストスーツへの期待を実感しました。使用者のご意見や自らのこだわりを追求し、より進化したアシストスーツが「二代目 楽衛門」です。
理想のアシストスーツを完成させるために開発や設計を何度も重ね、試作品をいくつも製作した上で「二代目 楽衛門」の仕様を決定しました。
エビデンスに基づき、東京大学からスピンオフしたXenoma社のモーションキャプチャ(e-skin MEVA)と、テラバイト社の骨格筋モデル機構解析システム(AnyBody)を使用し、腰部の筋張力、関節反力等の負担をデータ解析した結果、腰から背中の筋肉負担を約15%軽減、腰椎への関節負担を約4%軽減することを証明しました。
理学療法士、整体師、介護士など様々な立場の専門家にも体験していただき、あらゆる角度からの検証も行っています。

アシストスーツ 楽衛門

インタビュー 理想を追求した「二代目 楽衛門」の開発秘話についてお聞かせください。

杉村 「軽量でスタイリッシュなデザイン」、「フィット感とアシスト力を追求」、「幅広いサイズに合わせた縫製技術」をテーマに開発に取り組みました。
無駄を極力排除して軽量化し、スタイリッシュなデザイン、体へのフィット感とアシスト力を追求しました。幅広いサイズに対応できるよう工夫をこらし、日本が誇る匠の縫製職人がお客様のために最高の一着に仕上げています。
理想を追い求めたアシストスーツの開発は失敗と苦悩の連続でした。でもだからといってそれを追い求めることを諦めてはいけない。むしろ、その追い求めている過程こそが、理想の商品を生み出す答えなのだと思います。完成までに2年かかりましたが「理想を極めた」という自信はあります。

インタビュー そんなこだわりがつまった「二代目 楽衛門」はどのような商品なのか教えてください。

杉村 「二代目 楽衛門」は、10秒で簡単に着用できます。両肩と股間の3点を支点とし、腰の屈曲に対して伸長したハイパワーゴム(3層構造の伸縮素材)の復元力により、腰の曲げ伸ばしをアシストします。

インタビュー 体に負担もなく耐久性にも優れているのですね。「二代目 楽衛門」はどのようなお仕事でご活用できますか?

杉村 介護、農業、物流、製造業などの力仕事の現場でご活用いただいています。スタイリッシュなデザインなので、男女兼用でご使用できます。洗濯機で丸洗いもできるので衛生的です。

アシストスーツ 楽衛門 杉村清

インタビュー これほど画期的な商品だと、すでに喜びの声も届いているのでは?

杉村 ありがたいことにさまざまな利用者様から「良いものをつくってくれてありがとう」、「ずっと悩んでいた腰痛から解放された」とのお声をいただいています。そんなメッセージ一つひとつが、仕事へのモチベーションにつながっています。弊社のホームページにも「二代目 楽衛門」について詳しく情報を載せておりますので、気になる方はぜひチェックしていたださい。

インタビュー それは気になりますね。 最後に、これからの展望についてお聞かせください。

杉村 少子高齢化が進む日本の課題として、老々介護や高齢労働者が大幅に増加することが予想されており、労働環境の改善、腰痛という労災の防止対策として、アシストスーツの需要が高まっています。「これがあってよかったね」と言われるようなものをゼロから創り上げ、介護、農業、物流、製造業などの力仕事の現場で活躍できる定番アイテムになることを目指しています。